「君と時計と嘘の塔」シリーズの感想(ネタバレあり)
講談社タイガというマイナーレーベルから出ている小説、「君と時計と嘘の塔」シリーズが大大大傑作だったのでまた記事にします。
第一幕「君と時計と塔の嘘」の記事はこちら。
www.gith.xyz
※注意※
物語の確信に迫る完全なネタバレが含まれます。
シリーズ通しても4巻だけですので、ぜひぜひお読みになった上で記事を見て頂けたら嬉しいです!
活字はちょっと……というそこのキミにはコミックス版もあるよ!!
では行きましょう。
ここから感想です!
鈴鹿雛美とかいう正ヒロイン
雛美ぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
うわぁああああああああああああああああ!!!!!!!!!雛美!!!!!雛美!!!!!雛美ぃいいいいぃいいいいいいぃぃぃい!!!!
……すみません取り乱しました。
でも全巻読んだらこうなるよね!?!?!?
最初は主人公に感情移入していて芹愛をメインヒロインとして読んでいました。
そもそも雛美は彼氏持ち設定だったし。
でも雛美は最初から最後までずっと主人公の綜士だけを見ていたんですね。
自分なんかを間違っても好きになることが無いよう彼氏がいると嘘をついたり嘘がバレてもずーっと誤魔化し続けていて……もうね、なにそのいじらしい性格は!!
底抜けに明るく破天荒な性格自体主人公のために作ったものでしたからね。
そんな頑なに自分の想いを見せようとしなかった雛美が最後の最後で溢した言葉
「私だって、本当は皆と、綜士と、もっと……!」
綾崎隼.君と時計と雛の嘘 第四幕(講談社タイガ)(Kindleの位置No.2110).講談社.Kindle版.
もーーーう涙腺決壊。
そして最終話で雛実が消えた傷を抱えながら綜士に感情移入して「雛美のお陰で解決したんだね。ほんとうにありがとうね」と少しずつ喪失感を埋めていく読者(私)。
かーらーのプロローグですわ。ここに来て「プロローグ」!? ってなりますよね。「最終話」が終わっても1/4残ってるんですもん。なにこれって。
そして「あーなるほどね、雛美の過去から改めて追っかけるのね」と読んでいき、最後の最後で完全にノックアウトです。
好きだよ。
綜士君。
ずっと、ずっと、私は君が大好きでした。
綾崎隼.君と時計と雛の嘘 第四幕(講談社タイガ)(Kindleの位置No.3226).講談社.Kindle版.
ブゥワァアアアア!!!!(涙腺大決壊の音)
雛美ぃぃぃぃいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
うわぁああああああああああああああああ!!!!!!!!!
雛美!!!!!雛美!!!!!
雛美ぃいいいいぃいいいいいいぃぃぃい!!!!
ナンデ....ナンデぇ雛実があああああああ!!!!
ううううううう!!わああああああああ!!!!!!
と読者全員がなりましたね?
からの「エピローグ」ですわ。もう言うこと無い。
最後の形は賛否両論ありそうだけど、落とし所としてもベストだったと思います。
名前が違うせいで分けて考えがちですが、双子じゃなくてそもそも元々同一人物だし、要はリーディング・シュタイナーでしょ? って思えば腑に落ちました。
3巻あたりで本格的にヒロインレースに参戦、最終巻の畳み掛けで完全に正ヒロインの座をもぎ取った稀有なヒロインだと思います。
芹愛は?
綜士から芹愛のいびつな感情は、一騎のセリフが綺麗にまとめてくれていると思います。
『お前、 芹愛に振り向いて欲しいって思ってないだろ。お前にはさ、見返りを望む心が欠けているんだ。自分のことはどうでも良くて、芹愛の幸せしか願っていない。こんなことを言われたら面白くないかもしれないけど、まるでテレビ画面の向こうに恋をしているみたいだって、そう思ってた。だからかな。罪悪感を恋心と勘違いしているって話も、それなりに腑に落ちる』
綾崎隼.君と時計と雛の嘘 第四幕(講談社タイガ)(Kindleの位置No.2292-2296).講談社.Kindle版.
そして芹愛のセリフです。
『綜士が私を嫌っていて、悪者にしたいなら、それでも良いって思った。綜士はお姉ちゃんを守ってくれた人だから、恩返しをしようって。それで全部、終わりにしようって』
綾崎隼.君と時計と雛の嘘 第四幕(講談社タイガ)(Kindleの位置No.2274-2275).講談社.Kindle版.
確かに小学生時代は、憧れに起因する淡い恋心を芹愛は抱いていました。
しかし、事実を告げられた時の反応からもわかるように、綜士の想いは現在の芹愛にとって「想定外」なことです。
綜士が想定するように「気持ち悪い」とまでは思われていなくとも、決して"昔好きだった彼が私のこと好きだって! 嬉しいっ!"という感情ではないでしょう。
タイムリープの記憶を引き継いでいない芹愛は記憶を引き継いでいませんが、かつての周回時のようにまた会話を交わせるくらいの関係を構築することはきっとできるんじゃないかと思います。
でも、それから二人が付き合うとかそういった展開はまるでイメージできないんですよね。だって綜士本人が「彼女が幸せならそれで良い」とか言ってそもそもそういった関係を望んでなさそうなんだもん。
4巻終盤でさえ「俺一人が傷つくくらい、てんで構わない」と言ってのける綜士君なので、芹愛への贖罪願望と、そこから来る過剰なまでの自己犠牲精神が払拭ないし軽減されるような大事件でも起きない限り綜士×芹愛は難しそうだなと感じました。
結論:むちゃくちゃ面白かった
ヒロインレースを差し置いても、物語としてめちゃくちゃ面白いんですよね。
タイムリーパーが3人出てきますが、「記憶を引き継げるのは最後にタイムリープした人だけ」といったものを始めとした様々な制約があることで、タイムリープというギミック自体にも謎を解き明かす楽しみが生まれており設定の妙だな~と感心しました。
あと主人公より主人公してる千歳先輩ね。魅力的なキャラクターの中でもほんと大好きすぎる。私男だけど千歳先輩になら抱かれてもいい。
スピンオフがバリバリ出せそうな設定なので、本当に主人公になったところがぜひ見てみたいですね。
というわけでひっさびさにド・ド・ド・ドストライクな作品でした。
ラノベだと「紫色のクオリア」とか「12月のベロニカ」を読んだ時以来の衝撃でした。ほんっっっとうにオススメです(ってここまで読んでくれてる人は既読の人しかいないかもしれませんが)。
マジでちょっとでも多くの人に知ってもらいたい……そしてジワジワファンが増えWHITEFOX制作で劇場版アニメになって帰ってきてほしい……
個人的にライトノベル歴代トップ10に食い込む大傑作でした。
おわり

- 作者: 綾崎隼,ワカマツカオリ
- 出版社/メーカー: アスキーメディアワークス
- 発売日: 2010/01/25
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