幻想再帰のアリュージョニスト
幻想再帰のアリュージョニスト面白すぎるゾ〜〜
— ニルス@雑記ブログ (@nils00000) 2018年9月12日
2週間ほど前からドハマリしてからブログの更新も仕事もろくに手につかない奴隷状態に陥るほどドチャクソ面白い小説『幻想再帰のアリュージョニスト』をご紹介します。
リンク↓↓
https://ncode.syosetu.com/novelview/infotop/ncode/n9073ca/
「武士は喰わねど高楊枝」が一番面白いといったな? あれはもう変わった(面白いことには変わりないけどね!!)。
さてこのWEB小説、全く合わないか異常にハマるかのどっちかだと思います。私は後者です。SNSや検索サイトで「幻想再帰のアリュージョニスト」とか「アリュージョニスト」と検索すると業の深い熱心なファンが沢山サルベージできると思います。
『幻想再帰のアリュージョニスト』を未読の方に簡単に説明すると、異世界なろう小説に攻殻機動隊とハーモニーとエヴァとブラックロッドと円環少女とヘルシングとニンジャスレイヤーと女神転生とその他色々をブチ込んだ挙げ句クソデカい槍で貫いたような小説です(説明放棄)。
いちおうあらすじ。
異世界転生保険とは契約者本人を受取人として、保険量(インシュランス・クオンタム)である新たな人生を給付する制度である。無事支払い条件を満たしていたのはいいが、新たな世界で目を覚ますと何やら開幕から左手を怪物に食い千切られているという大惨事。おまけに原因不明のトラブルで言葉も通じないわ、現代日本の技術を異世界に持ち込んでしまうわで第二の人生は開始早々に前途多難。戦わなければ生き残れない仄暗い迷宮で、片腕を失った男は現代日本の技術を駆使して戦うことを決意する。現代日本の技術――すなわち、サイバネティクスの粋を集めた、機械義肢とサイバーカラテを。
https://ncode.syosetu.com/n9073ca/ 説明文より
(あらすじというか第一話の前半1/5くらいの導入まとめですねこれ。)
この記事ではネタバレを抑えきれずにポロポロしちゃうと思うので未読の方はとりあえず読んでみてね。頭おかしいレベルの膨大なテキスト量だけどまあ「ひぐらし」みたいなものだからオタクなら大丈夫だね。境ホラや京極夏彦だと思ってサクっと読んでね★
言理の妖精語りて曰く――
さて本作の特徴としてはその膨大なまでの設定が挙げられます。
膨大な設定というと、中二病に罹った小説初挑戦の人にありがちな世界観の説明や固有名詞を詰め込みまくって読者を置いてけぼりにするパターンです。いわゆる「パルスのファルシのルシがパージでコクーン」ですね。
しかしこの作品「幻想再帰のアリュージョニスト」では設定が膨大ながらも、その他のテキスト量も尋常ではないため、特に設定や用語の解説だらけだなぁという印象は受けません。
まあとはいえ量自体はかなりのもので、毎回必ず説明があるわけではないので、読みながらある程度は覚えたほうが作品を楽しめるでしょう。
特に「邪視」「呪文」「使い魔」「杖」という4つの要素(呪術の四代系統)が受け入れられるか否かで物語世界を楽しめるかが決まるといっても過言ではないと思います。
邪視とは世界観の拡張。自らの世界観を他者に押し付けて事象を改変する呪術。
呪文とは言語の拡張。ありふれたものを再解釈して神秘を見出し、語るがままに世界を変える呪術。
使い魔とは関係性の拡張。関係性で世界を規定し、目に見えぬ呪いを扱う呪術。
杖とは身体性の拡張。神秘を零落させ、再現性、大量生産可能なものへ貶める呪術。
杖は物理・自然科学(武術とか銃とか機動装甲とか)だと思えば比較的分かりやすんですけど、他の系統は読まないと何言ってるか分からないと思います。
たとえば
「やったか?!」
爆風に向けて叫ぶバル。彼には超高位呪術師を倒したという確信は無い。このような『どう考えても倒せていない』パターンを踏んだ言動をすることで、ほぼ確実に生きているであろう敵の反撃開始位置を爆心地に確定させたのである。
という場面がありますが、これは敢えて「やったか!?」とフラグっぽいセリフを口にすることで"やったか!?→やってない"というパターンに押し込め事象を改変・制限する「呪文」的アプローチの戦略です。
「邪視」はこう。
幻想再帰のアリュージョニストの特に面白いところは""お前がそう思うんならそうなんだろう。お前の中ではな""が""いや!俺が強くそう思えば世界もそれに追従するッ""って意志の強さが世界に拡張される(邪視者)って設定
— ニルス@雑記ブログ (@nils00000) 2018年9月25日
まあ何言ってるか分からないと思うのでとりあえず読んでみて。
それから守護の九槍とかキュトスの姉妹とか重要な設定は他にもいっぱいあるんだけど書き切れないし言語化するのが大変なのでWikiを見てくれ(ネタバレに配慮してくれてる親切設計)。
しかし設定が膨大すぎて有志の作ったWikiがあるってどうかしてると思わない?
幻想再帰のアリュージョニストWiki Wiki*
(追記)一応自分でも世界観と主な勢力を図にしてみたよ!
発剄用意──NOKOTTA!
さてここで唐突に好きなキャラを勝手に書き殴ります。
アキラくん
お前に本当のサイバーカラテを教えてやる(キリッ)
全裸の変態でメンヘラ(本文ママ)
サイバーパンク世界と化した未来の日本にて「死んだら異世界に転生させてあげるよ~」という異世界転生保険によりゼオーティアと呼ばれる世界に転生を果たした機械義手の青年。通称、品森晶(シナモリ・アキラ)。主人公。
アキラくんはSF的に発展した日本というサイバーパンク世界に生きてたから脳に直接色んなアプリを入れてます。
それがなぜか転生先の世界でも使えちゃうんですね。
痛みや怒り、恐怖といった感情を制御するアプリ「E-E」
蓄積されたビッグデータから戦闘時のすべての判断が外部データベースによって下され最適な身体所作による攻撃を行う「サイバーカラテ道場」
それから遠距離攻撃の軌道を予測し回避したりこちらの攻撃を正確無比に命中させる「弾道予測」
そして機械化された人体である義肢および体内に埋め込まれたマイクロマシン。
このように「心技体」をすべてアウトソーシングすることで、「座禅無しでゼン・スピリット。誰でも明鏡止水」のキャッチコピー通り誰でもインスタントに強くなれる武術・「サイバーカラテ」の使い手として、序盤は異世界でもそこそこ活躍できます。
それゆえサイボーグの腕を持ったスペースコブラ的な主人公による異世界冒険活劇なんだと私も思ってました。最初はね……。
コルセスカ
『邪視』とはすなわち、世界観の拡張
認識の極点
『流れ出せ我が涙 』
我が号は冬の魔女、その性 は擬人化の魔女、はじまりの紀は神話の魔女
Date et dabitur vobis.
我が銘はキュトスの姉妹が七十一番、氷血のコルセスカ
引き篭もりゲームオタクで今まで「攻略」してきたイケメンたちを実際の恋愛経験に数えている現実と
トリシューラ様
『杖』とはすなわち、身体性の拡張
技術の極地
『活動せよ我が錫杖 』
此が号は春の魔女、その相 はきぐるみの魔女、熾る紀元はアンドロイドの魔女
唵南無湿婆
キュトスの姉妹No.71――鮮血のトリシューラだよ。よろしく死んでね!
アンドロイドの魔女にしてヒロインにして支配者。ドローンとかマシンガン的な何かで戦う。「それっぽい」所作に拘りつつとにかく主人公をいじめる。持ち上げて落とす。ママじゃない。邪悪の化身。意外と打たれ弱く見える。悪魔。ママ~!!
アズーリアたん
歌姫Spearのステージを邪魔するような屑は死ねばいいよっていうかぶっ殺すよ!
おふとんごろごろ目おふとんから出たくない科のいきもの。もうひとりの主人公。
歌姫Spearというネット発アイドルのファン、というか狂信者。お菓子大好き。
その他
準レギュラーからそこそこ重要ポジションのネームドキャラも入れると100人以上いるんじゃないかな? 書ききれないからあとはよろしく。
ちなみに私が一番好きなのはメートリアン。あるけみ☆アイドル★メートリアン。章を追うごとにどんどん好きになる。情熱らぶりい♪えんじぇるメートリアン。
まとめ(まとまってない)
なんか上手いこと紹介しようと思ったけど無理だわこれ(放棄)。
さてこの『幻想再帰のアリュージョニスト』、これでもか! これでもか! と作者のやりたいこと書きたいことをガンガン詰め込んで膨張宇宙のように広がっていく世界観、当然文字数もそれだけ必要になります。
私は自分でも読むの結構速いほうだと思うのですが、そんな私が第一話から最新話まで二週間ほどかかりました。
それもそのはず、2018年9月末時点で文字数は実に3,414,904文字です。
ちなみに普通~やや薄めの単行本や文庫本一冊の文字数の目安は10万字(原稿用紙300枚くらい)。
300万字以上あるので既に本が三十冊分くらいの文字数がありますね(ヤバい)
現在も大絶賛連載中ですのでここから更に増えるでしょう(『徳川家康』かな?)
しかし大風呂敷を広げまくってさぞ収集がつかなくなってしまっているのかと思いきや見事に収束もしているんですよね。
突然出てきた設定が後々の伏線になっていたり、「この設定をこう使う!?」と読み手としてだけでなく書き手としても戦慄を覚えます。マジで作者さんの脳内構造どうなってるんだって。
脳に電極をぶっ刺された後氷漬けにされマシンガンでバラバラにされる背後で地下アイドルのステージがクライマックスを迎えるような酩酊感を味わいたければ迷わず読みましょう。もはやこれは電子ドラッグです。
さあ君も荒唐無稽・オカルトサイバーパンクの世界においでよ!
※作者の書籍化作品(『幻想再帰のアリュージョニスト』と世界観を共有してます)