腕時計の選び方
時計オタクを自称する私が、腕時計を選ぶポイント、選び方について書こうと思います。
価格やデザインについては予算や本人の好みがあるかと思いますので、今回はそれ以外、素材や内部機構などに注目して解説します。
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ムーブメント
時計の動力を司る部分を「ムーブメント」と言います。いわば時計の心臓部分ですね。
代表的なもので、「クオーツ」と「機械式」の二つがあります。
※他にも音叉式なんかがありますが一般的ではないので割愛。
クオーツ
クオーツ(クオーツムーブメント)とは、電池を動力源とするムーブメントです。
安価かつ高精度、軽量でコンパクトと、登場時には時計業界に革命を起こしました(「クオーツ・ショック」と呼ばれます)。
100均時計から高級路線まで、この世に存在する時計の大部分のムーブメントはこのクオーツが担っています。
機械式時計とは比較にならない高精度を誇り、止まってしまっても電池を交換することで再度動きます。
しかしながら動力部を丸ごと交換しなければ修理が不可能な場合も多く、メーカーに在庫がなければ修理が不可能になってしまうケースも多いです。
資産としての価値も乏しく、修理やメンテナンスを重ねて代々長く使う、といった使用には向きません。
G-SHOCKなどのデジタル時計や、ソーラー、電波、ソーラー電波といった時計も基本的にムーブメントはクオーツです。
なおソーラーなどをざっくり解説するとこんな感じ。
ソーラー:文字盤部分に光を当てることで電力を供給する
電波:時刻情報を含んだ電波をキャッチし、自動的に時刻を修正する
ソーラー電波:上記二つの機能を兼ね備えてる
機械式
機械式(メカニカル)は、ゼンマイを動力源とするムーブメントです。
クオーツに比べ精度は低く、一日数秒~数十秒時間がずれます。高価で重量があり、落下のショックや磁気にも弱いです。
こうして書くと良いところが無いように思えますが……、「時計」としての機能と快適さを重視し、使い捨てのファッションアイテムとして使うならその通りクオーツを選んだほうが良いです。
しかし一生モノとして、子供や孫にまで使ってほしいような着ける楽しみを感じる「相棒」として選ぶなら、断然機械式をおすすめします。
ほとんどの機械式ムーブメントは修理可能※で、オーバーホールと呼ばれる車の車検のような分解修理を4~6年おきに行うことで数十年単位で愛用していくことができます。
※但し5~15万円くらいの機械式時計だとどこかでコスト削減が行われているため、色々な部分にガタがきやすいです。丁寧に扱っていれば10年20年であれば充分使用できるとは思いますが、若者世代から晩年まで生涯使用するようなものになると50万円~くらいのモデルでないと厳しいかもしれません(価格はあくまで目安です)。
またクオーツに比べて針を回すパワー(トルク)が強いので、太く長い針を動かせます。モデルにもよりますが、老眼の方などにも時間が見やすいというのもメリットのひとつ。
高級なものは資産としての価値もあり、場合によっては購入時よりも値段が上がるなんてことも。
一般的に販売されているものは「手巻き」と「自動巻き(オートマチック)」に大別され、手巻きはその名の通り定期的に竜頭を回してゼンマイを巻かないと止まってしまうもの、自動巻きは装着時の腕の振りで自動でゼンマイが巻かれるものを指します。
※クオーツや機械式といったムーブメントについてはこちら↓の記事で更に詳しく語っています。
風防
時計の文字盤を覆うガラス部分を「風防」と言います。
コーティングとか加工とかで一概にいえないところもありますが、概ね下記三種類に分けられます。
- アクリルガラス
- ミネラルガラス
- サファイアガラス(サファイアクリスタル)
アクリルガラスとは、ガラスを名乗ってますが要は硬質プラスチック(アクリル)のことです。
軽くて安価、割れにくいですが素材自体は比較的柔らかいため傷が付きやすいです。鍵なんかと一緒にポケットに入れたらアウト。また日光や経年劣化による変色も起こしやすいです。
ミネラルガラスは一般的なガラスです。
安価、そこそこの重さと固さがありますが、落としたりぶつけたりすると割れます。
サファイアガラスはその名の通り、宝石のサファイアと同じ組成の人工サファイアです。
非常に固く、傷が付きにくいことが特徴。前者2つに比べて高価。そこそこの重さ。
傷は付きにくいですが一度ついてしまうと研磨で消すのは難しく、風防全取っ替えになる可能性が高いです。
傷の付きやすさは
アクリルガラス>ミネラルガラス>サファイアガラス(サファイアクリスタル)
割れやすさは
ミネラルガラス>アクリルガラス>サファイアガラス
価格は
サファイアガラス>ミネラルガラス>アクリルガラス
というイメージ。
よくぶつけたり落としたりする人はミネラルガラスは避けたほうがいいかもしれません。
個人的にはサファイアガラスが一番おすすめです。
ベルト
革(牛、ワニなど)、メタル(ステンレス、チタンなどの金属)、シリコンラバー、セラミックetc...時計のベルト(バンド)部分には様々な素材があり、時計全体の印象にも大きく影響を与えます。
ベルトを選ぶ際は、単純な見た目に加え、主にどんなシーンで使用するのかを考えると良いでしょう。
たとえば夏場も屋外で作業することが多いなら汗に弱い革を避ける、アウトドアが好きならシリコンラバーなどなど。
モデルにもよりますが、意外と簡単にベルトを替えることもできるので、シーンに応じて付け替えるのもありかもしれませんね。
私は基本的に純正革ベルトで、汗をかく夏場は裏地にシリコンゴムを張ったものに付け替えて使用しています。替えベルトは時計ベルト専門店の通販などで購入できるので、長く使いたい方は検討されてみてはいかがでしょうか。
サイズ感
時計のサイズが手首に「しっくりくる」か否かは日常的に使用していく上でかなり重要なポイントではないでしょうか。
またこれから解説する「ケース幅」と「ケース高」は時計自体の重量を左右する重要な項目です。
ケース幅
時計のサイズを判断する基準として、「ケース幅」というものがあります。「ケース」というのはバンドを外した時計の本体部分のことで、ケース幅とは(基本的に)竜頭部分を含まない、時計の横幅のことです。
メンズ腕時計ですと35~45mmくらいの範囲に概ね収まると思います。
40mm以上になると細身・小柄な男性には少々大きめに感じることがあります。手首が細い方、かつクラシックなモデルなら36~38mmくらいがおすすめです。
ただしこれは本人の感じ方によるところも大きいかと思いますので、できれば現物ないし近いサイズのものを実際に装着してみることをおすすめします。
ご参考までに、写真の時計はケース幅約41mmです。私の腕周りはおよそ14.0cmと
貧相細めなので、時計が結構大きく見えますね…。(気に入ってるからいいんだもん)

ケース高(厚さ)
意外と見落とされがちなのがこの「ケース高」です。ケースの厚みのことで、特に機械式時計やゴツめの時計はブ厚くなりがちです。
機械式時計の場合、ケースの中にはテンプやゼンマイといった機構が詰まっていますので、薄く軽くするにはそれだけ高い技術が要求され、値段も高くなりがちです。
一概には言えませんが、目安として10mm(1cm)を超えてくるようなモデルはかなり厚く感じるかもしれません。
ご参考までに、クオーツならSKAGENあたりはかなり薄く軽いモデルをウリにしています。機械式でもEPOS
やNOMOS
なんかは比較的リーズナブルかつ薄めのモデルが多いです。
通販で見ていて「サファイアガラスでケース幅もちょうどいい、革ベルトも素敵!」と買った時計が、いざ届いてみたらやたらぶ厚くて重くて思っていたのと違う……なんてことにならないよう、ケース高は確かめておいたほうが吉です。
防水性
ムーブメントを問わず重要なのがこの「防水性」です。
時計は基本的に水に弱いです。一度内部に水分が侵入してしまうと機械は痛むわ針は錆びるわで最悪の事態です。モデルごとの防水性に沿わない使い方をすると、せっかく買った時計がダメになりかねません。
時計の防水性は「○m」か「○気圧(○BAR)」のどちらかで記載されていることが多いです。
目安として、
- 表記なし:手洗い時なども外したほうが安心
- 3気圧(30m):小雨や手洗い時の水はねくらいなら大丈夫
- 5気圧(50m):雨や、炊事洗濯などくらいなら大丈夫
- 10気圧(100m):釣りなど船上作業や、プール等での軽い水中使用に耐える
- 20気圧(200m):競泳、シュノーケリングなど高い水圧のかからない環境下での水中使用が可能
ガチ潜水用のダイバーズウォッチ(Diver's○mなどと表記)を除き、概ね10m=1気圧という認識で大丈夫です。
ビジネスウォッチは3~5気圧防水くらいが多いので、特に3気圧の場合、できたらトイレのあとは外して手を洗ったほうが安心ですね。購入してから時間の経った時計はパッキンの防水性がヘタっている可能性もあるので、いずれにせよ過信しないほうが安心です。
腕時計の選び方 まとめ
「色々説明されたけどさあ、見ただけじゃわかんないよ!」というあなた。ご安心ください。
実店舗でも通販でも、時計には大抵スペック表のようなものが付いていますので(最悪メーカーのサイトを見ればほぼほぼ見つかります)、今回の記事の項目と照らし合わせてみてください。
個人的には、あくまで個人的にはですよ? できたら機械式時計の面白さというか、魅力というか、ロマンというか……を感じてもらえたらいいなあと思います(小声)
だってただ時間見るだけなら電波時計が内蔵されたスマホを見るだけでいいですからね(小声)
というわけで、腕時計の選び方でした! ご自身で購入する際はもちろん、プレゼント選びなどの際にもご参考になれば幸いです。